メイン >> ゲスト作家紹介|12月












誰もがそう感じると思のですが、
坂口くんは毎週のように本番を控えているような
ワーカホリックな芝居好きだ。
彼と初めて会った現場のことを思い返すが、
「遠足気分の中学生的だったおれは、
果たしてこの芝居馬鹿とどんな付き合いをしてたんだろう」
と、今思い出そうとしてもあんまり思い出せない。
その後もいろんな現場で会った。
芝居馬鹿(以下馬鹿)はいつも社交的だ。
話題に詰まれば自らネタになるべく
「おふざけト〜ク」を披露する馬鹿(以下ハゲ)。
しかし、おれはというと
「ああ、この愉快なハゲ(以下ゴリラ)は確かに楽しいが、
おれに心を開いているかどうかは怪しいものだなあ」
などと思っていたものだ。
でも最近、そんなゴリラの怒りの表情を見たり、
愚痴っているのを見たりしていると、
「ああ、おれも友達になれたのかなあ」と思ったりする今日この頃だ。
というわけで、彼の実体はとてもシャイなので、
その毛皮を引っ剥がせたら引っ剥がしたいなあと思っています。

「ビーチの真冬」(作・演出/山浦 徹)
その日は灼熱のビーチで迎えるクリスマス。
浜辺に佇むひとりの男。相棒はウクレレとデッキチェア。
そして傍らには渡しそびれたお歳暮の箱。
それは忙しかった日々が嘘のような、ゆったり過ごす年の瀬。
そんな穏やかなビーチに巻き起こった事件とは!?
箱の中身は一体何なのか!?
坂口修一からの暮れの元気なご挨拶!!


山浦さんのつくる作品は疾走感と変にべた付かない感覚が鮮やかです。情感たっぷりなのに汗臭くないというか。主戦場は路地裏と宇宙を繋ぐ迷宮世界だそうです。僕はすぐ汗臭さがにじみ出てしまう、ドロ臭い役者なので山浦さんどうしましょう?

12月舞台写真 クリックすると拡大します
12月を終えてコメント
群像劇を力ずくで独りでやりきる、というなげやりなコンセプトによく応えてくれた坂口くん。思い返せば、独り芝居にあるまじき慌ただしい舞台で、疲労度も相当なものだったろう。超人と誉め讃えたいと思う。豪腕です。常に全力投球。斉藤隆のように。まったく手を抜かないその姿勢は尊敬に値するのですが、毎週本番直前に全力の通し稽古をやって、その結果本番の最中に電池切れを起こす様を観ていると、「ひょっとしてバカなのか、こいつ??思ったりもしました。ごめん。おれは毎週日本橋散策を楽しんでいました。ごめん。
心残りは、稽古期間中にあんまり飲みに行けなかったこと。それと非常に長いホンをつくってしまったこと。泣く泣く削ってようやく1時間とちょっと。フルサイズでやれば1時間半はあったであろうから、およそ3分の2。いつかフルバージョンをやりましょう。
いやぁ、本当に役者は体力だなと思い知らされた公演でした。
山浦さんごめんなさい。体力のいる芝居だと台本を初めて読んだ瞬間思って、その日から初日にむけて毎朝起きてランニングを始めたんですが…残念ながら体力がつくより前に本番が来てしまい、なんなら慣れないランニングで体力メーターは普段より下がった状態でのスタートでした。ほんと、バカです。許してください。 90人近い登場人物と街中を駆け回る一人芝居、初日が開いて体力づくりのランニングはすっかりうやむやになってしまったんですが、毎週毎週の本番だけで、おかげさまで気がつけば体も絞られ、体力もつきました。これまた三日坊主で終わったブートキャンプより効果的でした。
それにしても泣く泣く削ったキャラクターの一人「オダギリさん」は本当に心残りで仕方ありません。モテてモテて仕方がない、本宮ひろしの「俺の空」も真っ青の超プレイボーイキャラだったんです。あの役のためだけでもフルバージョンをやる価値あります!あぅ、でもあの役をするなら一人芝居でなく女優陣と絡みたいかも!10人ぐらいの女優さんと僕との「ビーチの真冬」、山浦さんそんなフルバージョンはどうでしょう?
山浦 徹
化石オートバイ代表。作家、演出家、役者。
1999年1月の旗揚げ公演「地球最後の夜」以降、
すべての脚本・演出を手掛ける。
作風はリリカル&ナンセンス。
路地裏と宇宙を繋ぐ迷宮世界から、脱力コントまで守備範囲内。
劇団外での活動も、ピースピット、石原正一ショー、ファントマ、HEP HALLプロデュース、アプリコット、劇団☆世界一団などに客演、ブレイン・ディックに作・演出として参加など多数。
また、別ユニット「化右オートバイ」名義でも、コント疑似ライブをゲリラ的に活動中。
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