メイン >> ゲスト作家紹介|7月












初めまして。
坂口さんの一人芝居を書かせていただくことになりました、
隕石少年トースターの山内直哉と申します。
坂口さんとの出会いは、大学の演劇サークル時代です。
在団時期は被っていませんでしたが、
後輩のために演劇の基礎を教えに来てくださったり、
すごくお世話になっていました。
ちょっとしたヒーロー的大先輩です。
2年前の隕石少年トースターの公演では、
特別ゲストとして出演していただきました。
それはアドリブでお任せするシーンでした。

忘れもしない千秋楽。
サンタクロース姿の坂口さんが暖炉から帰るシーンで、
足だけ見えている状態の坂口さんが、
大きく溜めて勢いよくジャンプしました。

そのまま戻って来なかった。
煙突を一気に飛んで出たように見えました。
それはもう、ナンセンスだし、鮮やかだし、面白いし。
会場は大きな拍手に包まれました。僕自身もすごく嬉しかった。
独特の動きと聞き取りやすい声で、
空気を読みに読みながら繰り出される演技を観て、
坂口さんの魅力を再確認しました。
今回、一緒にお芝居を作れる機会をいただけて
メチャクチャ光栄です。いい作品を作ります。

「初めて海を見る少年のように」(脚本・演出/山内直哉)
「面白ければ立ち退かなくてもいい」
まだ誰も見たことのない高座を考えようと
奮闘する落語家と、アパートの管理人との
交流を描いたピクニック・コメディー。
劇中では、作・山内直哉、演者・坂口修一、
共に落語初挑戦者同士による創作落語も
披露しちゃいます!
7月の火曜日のシュウイチは、なんと
インディペンデントシアタープロデュース#10公演期間中の休演日に上演されます。#10と同じ舞台セット、同じ作家ならではのリンクもあり!
どうぞご期待下さい。

山内くんの描くコメディはお客さんにとっても親切で老若男女みんなが楽しめるようにとつくられています。ピクニックコメディと呼んでいるそうです。おじいちゃん、おばあちゃんの笑い声が劇場に響くような作品になればいいなぁ。

7月舞台写真 クリックすると拡大します
7月を終えてコメント
坂口さんとの初めての芝居作りは、とても楽しかったです。坂口さんは、とにかく芝居に対して真剣で、妥協しない人でした。
僕は、最初の稽古の日に「台本についてどんどん言って下さい」とお願いしました。一人芝居の経験値は、坂口さんの方が何倍も高いので、セリフから構成まで、気になったことは全部言ってもらいたいと思ったからです。
稽古しながら毎週のように軌道修正して行きました。おかげで、坂口さんの魅力がいっぱい詰まったお芝居になり、僕はとても満足しています。さすがに、本番一週間前に新しいアイデアの話を始めた時は、今から改訂して大丈夫なのかと心配になりましたが、無事にセリフも入り、お芝居もより良くなり、さすがだなあと感心してしまいました。
ただ、稽古中、#10とリンクする登場人物の「現田(げんだ)さん」のことを、いつまで経っても「権田(ごんだ)さん」と言っていたのは、かなり心配でした。「権田じゃなくて現田です」と言った直後に「権田」と言った時は、#10の方を「権田」に変えようかと思いました。しかし、本番で「権田さん」は出てこなかったので、一安心。その代わり、「谷山さん(おそらく谷川さんと平山くんの混合)」が出てきたので、最後の週まで気が抜けませんでした。
それにしても、今回、かなり真面目な稽古場でした。稽古後に呑みに行くこともなく、稽古中に脱線することもなく、ひたすら芝居作り。一度だけ、稽古の休憩時間にラーメンを食べに行きましたが、その時もラーメンを食べながらダメ出ししていたような気がします。
そういうわけで、約2ヶ月間よく一緒にいたのに、プライベートはお互い謎に包まれたままです。でも、心は確実に通じ合えたと思っています。理由は2つあります。最終週の前日になってまで、後悔のないように稽古したいとお互いに思えたから。そして何より、休憩時間に食べたいものが二人ともラーメンだったから。
まあ、麺の話はこの辺で。これ以上すると、伸びてしまいます。
振り返れば、初日が開くまで本当にドキドキの芝居づくりでした。
山内くんも「坂口さんの思うこと何でも言って下さい!」なんて言うもんだから、ただでさえお喋りの僕は次から次へと、役者の領分を越えて台本に関しても色々と口出ししてしまいました…。
「火曜日のシュウイチ」では僕は役者でありつつ、興行主でもあるわけで、普段の公演以上にこんな作品にしたい!という気持ちが山盛りあります。ついついそれが溢れてしまいました。その思いが山内くんに多大な迷惑をかけてしまったな…と反省しております。
でも、山内くんは、このお喋りの言いたい放題にほんと最後まで我慢強く付き合ってくれました。そのおかげで、今の僕達の気持ちのこもった入魂の一作に仕上がりました!
なんて、今だから自信満々に書いてますが、2人きりで考えまくりながら稽古し過ぎて、本番前日に2人とも何が面白いのか見失ったりもしましたよね。 その日、通し稽古を始めて人に見てもらったんですけど、その人が芝居始まって早々に寝ちゃったりして。 あれはショックだったな…。
明日は初日なのに!これは、本当にいけてるのか?
不安になった僕に山内くんも、ちょっとわからなくなってきましたね、みたいな。 あの日は本当に不安やったわ…。 結局、初日までひたすら稽古しまくったっけね。
毎回、毎回、本番しながら、洋食亭スパゲッティのこの台詞が身に滲みました。
「僕は今まで言い訳ばかりの人生でした。朝が早いから、バイトがあるから、弟子入りを断られたから。気付かないうちに自分に負けていたんです。」
この台詞を肝に銘じて「火曜日のシュウイチ」に挑みます!

山内直哉
関西大学の演劇サークル「劇団展覧劇場」に入団。
在籍中、5本の脚本・演出を手掛ける。
卒団後、東京の日テレシナリオスクールで1年間、
テレビドラマの脚本を勉強。
帰阪して、2004年7月、隕石少年トースターを旗揚げ。間口の広い作風が、様々な演劇祭で好評を得る。
2007年夏のインディペンデントシアタープロデュース#10の
メインライターに抜擢されるなど、徐々に活動の場を広げている。
絶対に話について来れるコメディーを得意とする。
隕石少年トースター web